今月の言葉(令和5年7月)

大原山西福寺 第51世 二橋 信玄より

【令和5年7月】

   

「人中の芬陀利華(ふんだりけ)

 

 夏のおとずれと共にきれいな蓮の花が咲き、その清らかな美しさは、私たちをお浄土へと、いざなって下さるような心持ちがします。


 佛教では蓮の華を特に大事にします。お寺やお佛壇の本尊様が蓮の華の台(うてな)に乗って居られます。またお寺の内陣の蓮の常華を見られる事がありますね。


 『観無量寿経』には、「若し念佛する者は当に知るべし、此の人はこれ人中の芬陀利華なり」とあります。芬陀利華とは白蓮華のことで、極楽の宝池には他の蓮華と共に芬陀利華が美しく咲き乱れていると説かれています。芬陀利華とは、すぐれた念佛者を白蓮華にたとえたものです。


 私たちの生活している社会は、うそ偽りが横行し、争いが絶えず、悪事が平然と行われる戯れた世界であり、そこに生きていく私たちの心の中には、むさぼり、いかり、おろかさといった煩悩があるがゆえに、苦しみ悩んで右往左往の生活をしています。


 白蓮華が泥の中にあって、しかもその泥に汚されず真っ白な美しい花を咲かせるように、私たちも戯れた社会にそまることなく、お念佛を称えて芬陀利華のごとく、かぐわしい香りをあたりにただよわせるような、すばらしい人生を送りたいものです。

 


2023年7月1日 

二橋 信玄 (大原山西福寺 第51世)